【profile】斎藤糧三先生

日本機能性医学研究所所長・米国機能性医学認定医
・ナグモクリニック東京 アンチエイジング 機能性医学外来医長
・日本再生医療学会会員
・日本抗加齢学会会員
・美容内科学会副理事長

機能性医学とは？

1990年にアメリカのジェフリー・ブランド(Jeffrey Bland)博士によって提唱された「最先端科学と医学を融合した、生活習慣病や慢性病の治療法」です。翌年には米国で機能性医学会が設立され、その後、多くの学者に支持、研究されてきました。ビル・クリントン(元アメリカ合衆国大統領)が選んだ次世代医療としても知られています。
具体的には、その人が持つ疾患に対して、生活習慣、食などトータルで検証し、その疾患の原因を見つけ出し、１人１人にあった習慣の改善、食の改善を行い、根本から治癒させる医学と言えます。

Q. 機能性医学で捉える、食によって病気を予防したり症状を改善するポイントを教えてください

A. ベースになるのは「ケトジェニックダイエット」です。炭水化物を適量まで制限し、「ケトン体」という抗酸化力の高い、糖エネルギーの代替物質を体内で増やす食事法ですが、この時、良質のたんぱく質がとても重要になります。
私は医学的アプローチから牛肉に着目していて、良質のたんぱく質とバランスの良い脂肪酸をあわせ持つ肉。穀物飼料ではなく牧草を食べて育つ、いわゆる「グラスフェッドビーフ」が良いと考えています。

それと同時に大事なのは腸内環境維持のため食物繊維の摂取です。しかし、食物繊維が良いと言って、やみくもに食物繊維をとると「SIBO（シーボ／小腸内細菌異常増殖症）」という病気を悪化させる場合もあります。またSIBOを元々持つ方に、食物繊維の大量摂取は逆効果です。この病気は小腸で腸内細菌の異常増殖で引き起こされるものなのですが、一般には、もとい医師にさえもあまり知られていません。機能性医学では、SIBOに対して「低FODMAP（フォドマップ）食」に準拠した食事をして腸環境のバランスを整える治療をし、治癒することができます。
つまり、こういった病気も食事や生活習慣などに注目して原因を突き止め、ピンポイントでアプローチすることで、薬を極力用いることなく改善することができます。機能性医学では、個体差を重視し、個人のなかでどのような問題がおこっているかを分析しながら根本治療をおこなっていきます。

Q. 大事なのは腸内環境なのですね？最近は腸は第二の脳と言われたり、「腸活」という言葉が生まれたりしているのも納得できます。ファスティング（断食）などもその一種ですか？

A. ファスティングは食べずに痩せるといいうよりは、前に触れたケトン体を増やすこと、そして、細胞のお掃除機構(オートファジー)をONにすることを目的にします。ファスティング中に全く食べないと、腸の上皮（ヒダヒダ）が萎縮したり、分解された脂肪から毒素がでてきて自家中毒になったりすることもあるため、アミノ酸や水溶性食物繊維、ビタミン群を適度に摂ることが大切です。
また、ファスティング後の回復期もしっかりと栄養アプローチをすることが肝心です。お好みのスムージーに、ちょっと足すだけで完璧なスムージーなるようなサプリメントも開発しています。このサプリメントを毎日のスムージーに直接入れることで、よりはっきりと自分の身体が変わることを体感してもらえると思います。

Q. 砂糖（シュガー）は良くないものとしての認識が強いですが、フルーツの糖（果糖）についてはどうでしょうか？

A. 果物にはビタミンやミネラルが含まれているのですべてが悪いわけではありませんが、果糖も糖なので摂りすぎは良くありません。これは身体に摂取するタイミングにもかかわってきます。運動前や朝の仕事前などは、スムージーに果物を多めに入れても、エネルギーとして使割れるので害にはなりにくいですが、寝る前などに果物たっぷりのスムージーは避けたほうが良いでしょう。果糖が脂肪となり、寝ている間に肝臓に脂肪が蓄積されていってしまいますので注意が必要です。

Q. 体にいいと言われるものだけを摂るということは良くないのでしょうか？

A. やはりバランスです。今流行りのMCTオイルなども、そればかり摂取してしまうと脂肪肝につながってしまいます。フィトケミカルを多く含む野菜、食物繊維、果物、そして良いたんぱく質を生活のリズムに合わせて摂るべきです。プラス、足りない部分はサプリで補ってあげる。これが重要です。

総括

1人1人の生活リズム、目的に合わせて適切なアドバイスと具体的改善を実施している斎藤先生。日々多忙を極めながらも最近はオリンピックアスリートや芸能関係の方のケアも行っています。斎藤先生自身も研究に沿った自己ケアを積極的にやっているのでいつお会いしてもハツラツとされています。これからはVitamixを愛用してくれている先生と皆さんのお役経つ企画をしていきますので楽しみにしてください。