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ガブリエレ・リヴァさん

ガブリエレ・リヴァさん

東京・恵比寿のペストリーショップ「LESS」のオーナーシェフ。イタリア・ミラノ出身。実家のペストリーショップで12歳から修行をスタート。ロンドンとニューヨークの「NOBU(ノブ)」のペストリーシェフのほか、各国で経験を積み、コンサルティングなどでも活躍。7年に渡り、「USAカカオバリーアンバサダー」を務めた経歴も持つ。2018年から日本在住。

坂倉加奈子さん

坂倉加奈子さん

同・オーナーシェフ。大阪辻製菓専門学校卒業後、渡仏。パリのパティスリーやノルウェーのレストランなどで経験を積み、帰国後は東京・南青山の「NARISAWA」などで活躍。特に、ジャンルにとらわれず、季節の素材に敬意を払って生み出される皿盛りデザートに定評がある。

賑やかな東京・恵比寿の繁華街から少し離れた住宅街の細い路地。イタリア人のガブリエレさんと日本人の坂倉加奈子さんがシェフ・オーナーを務めるペストリーショップ「LESS(レス)」は、そんな場所に静かに佇んでいます。

賑やかな東京・恵比寿の繁華街から少し離れた住宅街の細い路地。イタリア人のガブリエレさんと日本人の坂倉加奈子さんがシェフ・オーナーを務めるペストリーショップ「LESS(レス)」は、そんな場所に静かに佇んでいます。世界で活躍してきた2人が出会ったのは2018年、ラスベガスでのこと。お互いが理想とするデザートの哲学が共鳴し、2019年9月にショップをオープンしました。その哲学とは、ドイツの建築家 ミース・ファン・デル・ローエの「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」、ドイツの巨匠デザイナー ディーター・ラムズの「Less, but better(より少なく、しかしよりよく)」という言葉にインスパイアされたもの。
「余分なものをそぎ落とすことで、旬の素材を最大限に際立たせる。本当に必要なものだけを追求してデザートを作っています」(ガブリエレさん)
「技術や経験を持つほど、どんどん“プラス”したくなりますが、それは作り手のエゴだと思うんです。例えば、今まで当たり前だったデコレーションも、それが本当に必要か、おいしいものを作るために必要なのか…ということを、手間はかかりますが、1つ1つ見極めています」(坂倉さん)
2人の言葉は、引き算の美学を持つ和食にも通じるかのよう。シンプルであるからこそ、記憶に残るデザートを。そんな思いが店名にも込められています。

ここには冷蔵機能を備えたショーケースもありません。

ここには冷蔵機能を備えたショーケースもありません。常温のショーケースに並ぶケーキに毎日同じものはなく、日替わりで4~5種のみ。
「できるだけ作りたてを食べていただきたいので、作り置きすることは考えていません。無くなったらその都度作る、ということです。季節ごとに、そのときの旬の食材を使うため農家に負担をかけることもなく、フードロスにも配慮しています。手作りのジャムも皮や種まで使うことでより深い風味を引き出せるんですよ」(坂倉さん)
パッケージも同じく必要最低限。環境に影響が少ない北海道エゾ松の再生紙を100%使用しています。そんな「LESS」唯一の定番が、名物のパネットーネ。イタリアのクリスマスの伝統菓子として有名ですが、日本で初めての通年商品として作っています。ガブリエレさんのイタリアの実家で50余年受け継がれるパネットーネ酵母を使い、完成までに4日も要するのだとか。
「酵母は3時間ごとに確認し、毎朝ぬるま湯で洗い、適切な量の小麦粉と水を加えます。まるで赤ちゃんを育てるようでしょ!?」(ガブリエレさん)
その生地はとろけるようにきめ細かく軽やかで、驚くほどしっとり。これまで国内に流通していたパネットーネとは一線を画します。長時間の自然発酵により2~3週間は常温で保存でき、時間の経過と共に熟成感が変わってゆくのも楽しみ。最初の1週間は乳酸菌のようなフレッシュな香りが立ち、2~3週間目はよりしっとり深みのある味わいに。ゆずなど日本の柑橘類を混ぜたり、栗など季節の素材を使ったり、2人ならではのアイデアも光ります。

実は、ガブリエレさんのバイタミックス使用歴は25年以上。

実は、ガブリエレさんのバイタミックス使用歴は25年以上。ロンドンのレストランで最初に使って以来、愛用しています。
「フルーツをピューレにしたり、ソースを作ったり、長年使っていますが、進化を実感しています。モーターは小さいのに強くて、食材が瞬時になめらかになるので作業効率が格段にいいですね。少量のスパイスなどを砕く時には小さなアタッチメントに替えられるのも便利。丈夫で取り扱いも簡単で、とにかくストレスフリーです」
今回教えてくれた「豆腐のクリーム」は、バイタミックスならではのなめらかな食感を存分に楽しめる一品。小麦粉、砂糖、牛乳、卵不使用のヴィーガン対応で、ヴィーガンを専門的に学んだ経験を持つガブリエレさんの知識と技が凝縮されています。豆腐がベースなのにまるで芳醇なチーズのような味わいに驚きますが、その秘密はなんと味噌と梅干し。発酵食品の旨味や酸味が味に奥行きやコクを生み出すのだとか。和食を愛し、日本の食材にも精通したガブリエルさんならではのレシピです。
また、素材を無駄なく使い切る坂倉さんならではの使用法も。
「バニラビーンズのさやを乾燥させてバイタミックスでパウダーにし、焼き菓子やシロップなどにも使っています。捨てるところなく全て使うというだけでなく、より風味も高まるんです」

ショップをオープンして1年、早くも2人には次の構想があるよう。

ショップをオープンして1年、早くも2人には次の構想があるよう。チョコレートの製作、製造や開発に集中できるアトリエラボの開設、アフタヌーンティーの提供など、アイデアは次々と湧いてきます。
「日本ではまだ少ないですが、カットケーキを出すだけでなく、皿に盛りつけたデザートもお出ししたいですね。私たちが経験してきたお菓子作りの仕事を伝える意味でも、レストランで楽しむような、キッチンで作りたてのデザートを提供できればと考えています」(ガブリエレさん)
流通が発展し、大量消費社会となった昨今はお菓子作りのあり方も変わってきていますが、坂倉さんはその意義を見つめ直しています。
「お菓子はもともと、冷蔵庫がない時代から季節の食材を使って大切に作られてきました。現代では機械的に大量に作られることが多くなりましたが、それは本来の“もの作り”とは違うのではないかと感じています。私たちがしていることは手間はかかるし、その分、高価にもなってしまいますが、だからこそ生まれる瞬間的なおいしさや季節感などがあるはず。食べていただいた方が今までと違う味わいを見い出してくださったら、作り手としてとてもうれしいです。並ぶデザートの種類も数も毎日同じものが揃うわけではありませんが、そうしたことも含めて楽しめるようになれたら、と願っています」

my recipe 日本の食材が味わいを生むヴィーガンレシピ 豆腐のクリーム

豆腐のクリーム

【材料】
島豆腐または水切りした木綿豆腐340g
(A)豆乳156g、粉寒天3g、メイプルシロップ100g、バニラパウダー少量
(B)レモンの皮5g、梅干し(果肉のみ)10~12g(梅干し約1個分)、味噌23g、くず粉5g
(C)レモン汁70g、米油またはサラダ油32g、オリーブオイル30g


【作り方】
①島豆腐は蒸し器で蒸して温めておく。
②Aを鍋に入れ、混ぜながら沸騰するくらいまで温めておく。
③Bをバイタミックスに入れ、よく混ぜる
④①をキッチンペーパーでよく水気をとり、温かいまま③に加える。②も加え、バイタミックスのLow→Highで約50秒混ぜる。
⑤Cを加え、約40秒混ぜる。
⑥タルト型やグラス、ジャーなどに流し込み、冷蔵庫で冷やし固める。好みでブルーベリー、イチゴ、マンゴーなどのほか、フルーツのコンポートをのせる。
※材料は全て半量にしても作れます。

LESS(レス)

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東京都目黒区三田1-12-25 金子ビル1F
☎ 03-6451-2717
営 11:00-19:00
休 水曜 ※その他、不定休あり
URL https://www.lessbygrks.com/
オンラインショップ https://lessonlineshop.com