｢もともと『元気な人だね』と言われていましたが、最近は『もっとパワフルになったね』と言われることが多くなりました｣
弾けるような笑顔でそう話す渡辺めぐみさん。その秘密は、53歳から始めた筋肉トレーニングにあるといいます。きっかけは毎年プライベートで訪れるハワイで撮影した水着の写真でした。
｢2年前の写真と比べて驚くほどお肉が付いていて（笑）。周囲に『これでいいの？』と焚きつけられ、ジムに通い始めました｣
フィットネス大会出場を目標に据え、2017年と2018年に計4回出場。トレーニングをするうち、心身の変化も感じるようになりました。
｢気持ちが前向きになっただけでなく、長く悩んでいた偏頭痛と肩こりがなくなったんです。体調がなんとなく悪い人って運動不足が原因のことも多いんですよ。体を動かす大切さを実感しました｣
現在は芸能活動に合わせ、トレーニングの大切さを広めるレッスンや講演、執筆活動などに忙しい日々を送っています。
｢テーマは『健康寿命』。将来のための『筋肉貯筋』をして、最後まで自分の足でトイレに行くのが目標です。誰にでもできる動きで、まずは1日10分から。毎日習慣として続けることが大切で、回数や時間は少しずつ増やしていけばいいんです｣

渡辺さんは東京･表参道のイタリアンレストラン｢La CHIARA｣（ラ キアーラ）のオーナーも務めます。お店がある表参道は昔からなじみのある街でした。
｢買い物にも食事にもよく訪れています。銀座とは違って、緑が多くて木陰もある風景が好きなんですよね。神宮前の交差点を境に、お店や人の感じが変わるのも楽しくて｣
表参道という街の雰囲気、｢とにかくお客様のためにおいしいものを｣というシェフの情熱、料理の味、型にはまらないサービス。その全てが渡辺さんの中でマッチしているといいます。カジュアルな空間にもまた楽しみが。
｢アートと食事を一緒に楽しめるお店として歩んできましたが、今は私なりのエッセンスもプラスしています。好きなアーティストや知り合いのタレントさんに声をかけて、写真や絵、書などを３ヶ月ごとに展示しているんですよ。多くの方に集っていただき、『今日も来ちゃった！』と気軽に言ってもらえるような空間になればいいですね｣

53歳から始めたトレーニングをきっかけに、食生活にも変化がありました。もともと好きな野菜が中心でしたが、魚や肉などのたんぱく質をしっかり摂るようになったそうです。加えて、ストレスをためないことも大切にするように。
｢残りの人生を考えると、あれは食べちゃダメ、これも食べちゃダメではつまらない。夜は炭水化物を控えていますが、おかずによっては白米が食べたくなりますよね。そんな時はお茶碗半分など量を少なくして食べています。『今日は食後にスイーツを食べるぞ』という日は白米を食べないなど、1日や1週間でバランスを取るようにしています｣
朝食には、バイタミックスでスムージーを作ることも。ケールなどの葉ものにバナナやりんごなどで甘みを加え、プロテインを入れるのが渡辺さんの定番スムージー。
｢飲み始めてからお通じやお肌の調子がよくなったような気がしています。小さくなって削れないかつお節などもあっという間に粉末にできるので重宝しています｣

｢罪悪感を覚えたら負け｣。そう話す渡辺さんは、食生活だけでなく、日々の生活でもストレスをためないことを心がけています。
｢トレーニングにしても食事にしても、もしできなかった日があったとしても、『今日はできなかった！また明日やろう！』と切り替えて気持ちを持つことが、明るく健康的な日々を送れる秘訣だと思っています。今日はできなかった…という罪悪感を引きずらないように暮らしていけたらいいですね｣
56歳になった今、最終目標に掲げているのは｢医療費をかけずに健康寿命を維持していくこと｣。大会に出ることや美ボディになることが目的ではなく、日々体を動かし、一生太りにくい体と動ける筋肉貯筋を目指す。そのための活動をしていきたいと考えています。
｢トレーニングや筋肉貯筋を通じて、53歳から始めた自分自身が体験したことを伝えていきたいです。等身大に年を重ねることは素敵なことで、年をとることは怖くないと思える人生を、多くの方と共有しながら一緒に歩んでいきたいですね｣